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「短編・SSその3」
『メインディッシュは最後でしょ!』


『メインディッシュは最後でしょ!』

2010.03.10  *Edit 

 私には不徳な幼馴染がいます。っていうか、ぶっちゃけ女ったらしの幼馴染が。
 確かに顔もいいし、表面ツラは爽やかタイプ。輪郭は男にしてはスマートだし、体脂肪率は、え、と……確か五%未満だったと思う。それに頭もいいしって……とにかく才色兼備なのだ。
 そんな奴――悠里と、私こと鈴蘭は幼稚園よりも遡ること、同じ病院で生まれたときからの付き合いだった。たまたま何だけど。腐れ縁だけがつながりだって言うのに、悠里は私に何かと気に掛けてくれている。あくまで幼馴染って言う関係で。そんなあいつは今日も恒例なあれをやっていた。
「お~お~君君、可愛いね、俺さ、昼まだなんだよな、なぁ一緒に食わない?」
「え? でもぉ」
「お願いだよ、俺のお願い、聞いてくれない?」
 出た、あの相手を射るような真っ直ぐな瞳。あれに何人仕留められた事か……。あ、あのうら若き(私もそうなんだけど)女性が悠里の魔の手に。あぁあ、あんなに瞳をウルウルさせちゃって。
 一回ため息をつくと、マンガで言う、ドスドスってな効果音がもれなく付属して来そうな歩調で悠里のもとに行くと、その肩をつかんだ。
「んあ。ああ、スーじゃん、どうした?」
 ああ、分かってない。分かってないよこいつ。
「どうしたもこうしたもぉ……無いっ!!!」
 私はとぼけ面の悠里の鳩尾めがけて一発パンチをお見舞いしておく。
「ぐはぁ。何するんだよ!!」
 非難の目で見る悠里を無視して、先程の乙女のところまで歩いていく。そして優しく手を取ると耳元で囁いた。すると、みるみる内に顔が紅潮していって、挙句の果てに眉間に激しくシワがよった。立ち上がったかと思うと、悠里の整った顔に平手を一発。
「この、女の敵!」
 乙女は去っていった。早速、悠里は私に詰め寄ってくる。
「何すんの? てか何て言ったの!!」
「え~、あの子とかあの子とかあの子のことの色々をね」
「あ~~」
 途端に悠里の顔は絶望で塗り固められていく。青筋が一杯顔面に走って大変そうだったが気にしない。あのままじゃ乙女の乙女が危なかったのだから。
「マジかよ。もしかして、ホテル行った後とかも話した訳?」
「もち」
「しんじらんね~~よ~~。久しぶりの上玉だったのによ~」
 悠里は一目で分かるほど落胆した表情で肩を落ち込ませた。その口から出てくるのは負のオーラだけかもしれない。
 さすがに気の毒になった私(こういう甘えがいけないのかなぁ?)は悠里の肩をポンポンと叩くと、後ろにあるファーストフード店を指差す。
「あそこで何か買って公園ででも食べよ! 奢ってあげるから」
「マジでか!! おう、もう元気出てきた」
 先程までの落ち込み加減はどこへやら、子犬のように表情をキラキラさせて、悠里は私を見てきた。そのクールフェイスで甘えられると思わずドキッと来るからやめて欲しい。いや、私はこれを見たくてやってるわけじゃないよ。
 私はハンバーガーのセットを二つ買うと、悠里と公園のベンチで食事を開始した。
 私は、口にハンバーガーをちびちびと入れながら、いつも感じていた疑問を言ってみた。
「何でさ、いつもああいうのするわけよ?」
「ああいうの? もぐもぐ」
 ポテトとハンバーガーと食べながらコーラで飲み干した悠里がこっちを不思議そうに見た。こら、汚いぞ。
 私は付属のナプキンで悠里の口元を拭いてやる。ん~と悠里は目を細めた。
「そうよ、ナンパとかナンパとかナンパとかとか」
「それってつまりナンパじゃん」
 悠里は笑うと続ける。
「だって、可愛いんだもん。欲しくなるだろ?」
「何その理由」
 はぁとため息をついた。こいつらしいって言っちゃらしいけど。もうちょっとデリカシーみたいなもんはないのかね。
「でも、私とかは言われたことないわよね~」
 なんでもないように呟いてみた。
「私だって、結構告白とかされてるほうだし、まぁ断ってるけど。でもね、悠里から一回もそういう言葉貰ったことないから、プライド傷つくなぁ」
 それに、他の人と同様に私だって。
 悠里はしばらく、惚けてみると、不意に黙りだす。食べ終わったハンバーガーの包み紙を丸めると、ゴミ箱に投げた。
「だってさぁ」
「ん?」
「いや、なんでもない」
 ん? こいつにしては珍しく、歯切れが悪い。ズケズケ言う性格なはずなのに。そういう態度を取られると、こちらとしても悪戯したくなるというものだ。私はにやりと笑うと、言葉で攻めてみる。
「教えなさいよ」
「いや」
「教えてって!」
「い~や~だ~」
「おし……」
「いやっつってんだろ!!」
 少し真面目に怒っている。やばい、少し言い過ぎたかもしれない。
「ごめんね」
「いいけど」
「って事で教えて!」
「今のごめんねは何だったんだよ……」
 悠里はため息をついた。そして、ぷいっと私から目をそらす。そして、頬を掻きながら言った。
「だって、お前とだったら、俺本気になっちゃうもん」
「は?」
 どうやら恥ずかしかったらしく、悠里は俯いた。
「だから、お前に言ったら、俺、冗談じゃなくなるから今は無理!!」
 バンと悠里は自分の膝を叩くと、逃げるように立ち去った。「ご馳走様でした」を言い残して。
 取り残された私は自分の頬を触ってみる。ホットミルクみたいに熱かった。心にじんわりと、温かい気持ちが広がっていく。
「今のって告白かな?」
 ニシシと笑ってみる。いや、無理だ。口元が緩むのが抑えられない。だって、私だって……。
「悠里だったら絶対にOKしちゃうのに」
 私は緩む頬を押さえながら帰路に着いたのであった。
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